[料理名]バミー(中華麺)

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創業79年という老舗がバンコクの片隅でそっと咲いている

創業79年という老舗がバンコクの片隅でそっと咲いている

「最近、お客さんも前の通りを走る車もめっきり減っちゃってね」

背を丸くし、優しく微笑む初老の女性。
『クイッティアオ ケーシープラヤー』の店主である彼女は、この店の評判商品であるカノムジープを柔らかな手つきで一つ一つ丁寧に包みながら、私に話してくれました。

シャッター通りで1軒だけ営業するクイッティアオ屋

ジャルンクルン通り(Charoen Krung Rd)を南から北上し、シープラヤ通り(Si Phraya Rd)で右折。
数百メートルほど先の左手に見えてくるのが『クイッティアオ ケーシープラヤー』です。
私がこの店を知ったのは、シープラヤ通りをバイクで走っている時に偶然見かけたのがきっかけでした。

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ジャルンクルン通りから『クイッティアオ ケーシープラヤー』が立地する数百メートルの間に、飲食店はまったくない。
他にも店舗はあったようですが、どこもシャッターが閉じられ、カラースプレーで落書きまでされてしまい、寂寥感に覆われた通りになってしまっている。
こんな中、一軒だけ営業しているのが『クイッティアオ ケーシープラヤー』だったことと、店の風情に惹き付けられたことで印象に残っていたんです。

ここ数年間に出来た店ではない。
何十年も時を刻んできた店だけが醸す、独特の雰囲気が表れています。
何度か通るたびに停まって食べようかと思ったことがあったのですが、タイミングが合わず、最初に出会ってから数ヶ月が経っていました。

驚くほど透明感のあるスープのバミー麺

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ようやく足を運んだのはつい数日前。
時間は朝9時半。
開店しているのか恐る恐る覗き込んでみると、1人の先客がクイッティアオをすすっていました。

テーブルの一席では、初老の女性が黙々とカノムジープを包み、若い男性が麺をゆがくなどの作業に従事しています。
この店からバイクで2〜3分走るとラマ4世通り、すぐそばにはジャルンクルン通りという大通りがあるというのに、店内にはそれらがウソのように静かで時間の流れが穏やか。

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スープありバミー麺と女性が包むカノムジープを注文し、しばらく彼女の手さばきを眺めていました。
大柄な体躯の背を丸め、丁寧に包んでいくその姿は、いつまで見ていても飽きさせない。

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ーーこのお店は何年やっているんですか?

「60年か70年ぐらいだね。あなたタイ語喋られるの? どこの出身?」

私が話しかけると顔を上げ、和やかな表情で応じてくれました。

詳しく聞くと、『クイッティアオ ケーシープラヤー』が創業したのは仏暦2480年。
西暦だと1937年、およそ80年もの長きに渡り営んでいるクイッティアオ屋は、バンコクで数少ない老舗に入るでしょう。

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男性がバミーを運んできました。
丼の中は驚くほど透明感のあるスープで満たされている。
さらりとしていながら、それでいてきっちりと深い。
細麺ながらコシのある縮れ麺、盛られた数種のルークチンは揚げたものや蒸したものなど。

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別皿のカノムジープは、粘りが出るまで挽いた豚肉を包んで蒸し、ほんのりと黄色みがかった皮の上に甘いソースがかけられている。
熱々のうちに丸ごと頬張る。
噛むたびに豚肉の旨味と甘みが広がり、誠実なまでに優しい味わいです。

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2品を食べ終えた私は、勢いづいてしまい追加で汁無しバミーをオーダーしました。
箸でバミー麺を何度も混ぜ、底に沈殿している甘いタレを撹拌してすする。
個性ある飛び抜けた旨さではないかもしれませんが、何度食べても飽きがこないように思う一杯。
だからこそ、80年も営んでこれたのかもしれません。

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毎日、休みなく親子で作り続ける

ーー1日にどれぐらいカノムジープを作られているんですか?

「最近、お客さんも前の通りを走る車もめっきり減っちゃってね。だからそれほど多くないわよ」

冒頭で紹介した彼女の言葉は、私が質問した問いへの返答です。
眉間に皺を寄せそう答える彼女からは、哀しみでも怒りでもなく、諦観をも超越したものを感じ、私は何も答えられませんでした。

「私のお爺ちゃんとお婆ちゃんが創業主。私で三代目で、息子が四代目なの」

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麺をゆがいていた男性は彼女のご子息だったようです。
客足が鈍りつつある中、彼は彼なりに、今の時代に沿った集客方法も考えているようで、後日、ネットで調べてみると『クイッティアオ ケーシープラヤー』のFacebookページを見つけました。

メニューの写真などを掲載し、更新頻度は高く、SNSでの集客に務めているのがうかがえます。

来年で創業80年。
周辺の店はほとんど閉店し、閉じられたシャッターが目立つ通りになってしまいました。
閉じた店にカラースプレーで落書きをした心ない者は、あろうことか『クイッティアオ ケーシープラヤー』にも同様の落書きを残しています。

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それでもなお、賢明に切り盛りしている親子2人は、また明日も、カノムジープを包み、バミー麺をゆがき続ける。

有名でもなく、人気店でもない老舗のクイッティアオ屋。
バンコクの片隅でひっそりと咲く名花に出会えたことへ、感謝の気持ちでいっぱいです。

【SHOP DATA】
「クイッティアオ ケーシープラヤー(ก๋วยเตี๊ยวแคะสี่พระยา)」
TEL:02-266-3712
OPEN:10:00-15:30(基本無休)
ADDRESS:562 Road Si Phraya Maha Phruttharam, Khet Bang Rak.Bangkok
PRICE:バミー40B、カノムジープ30B
FACEBOOK:https://www.facebook.com/SiphayaNoodle/

1974年生まれ大阪府出身。大阪と東京で雑誌編集者として勤務し、2011年にタイへ移住。バンコクで月刊誌の編集長を経て2017年4月にタイ国内旅行会社TRIPULL(THAILAND)Co.,Ltd.を起業し旅行メディアTRIPULLも運営。
Twitter:nishioyasuharu

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COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 4 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. ここのお店って、バミージャンボの有るお店ではなかったでしょうか?

    • By 激旨!タイ食堂

      他の方のブログで紹介されていましたので、そのようですね。
      私はそれが目的ではなかったので、注文しませんでした。

  2. 昨日、このお店に行って来ました。
    バミーとカノムジープ、とても美味しかった。
    意外に地元の人たちで混み合っていて座れず、しばらく外で待ちました。
    タクシン駅から20分程歩いて行きましたが、その価値ありだと思いました。

    • By 西尾 康晴

      お店を訪問したレポートありがとうございます。
      地味ながら地元の人々に支持されているこういうお店を、これからもどんどん紹介していきたいです。

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